月の隣
――最も月に近い場所
・月の引力
月の隣はほかの土地より月が近いため月による魔法性の引力が強く、これによって形の有無に関わらず様々なものが集まる。集まった諸々を求めて月の隣を訪れる者は多いが、人間の正気は狂気よりも引力の影響を受けやすい。長く留まれば完全に正気を失い、狂気に染まってしまう(月堕ち)。
・月堕ち
月の引力によって完全に正気を失った抜け殻。狂気に染まった生き物。その多くは理性らしいものを持ち合わせておらず、行動原理の理解や意思の疎通は不可能に近い。
◇月の隣では月堕ちを防ぐため「本名を名乗らない」ことで嘘を纏うのが一般的。
◇怪物や妖怪、魔法生物、魔女などは普通の人間よりも月の引力に耐性がある者が多く、月にまつわる伝承を持つものはむしろ恩恵を受ける場合がある。例として、狼男は満月の晩でなくとも能力を発揮し続けることができる。
・「月の隣人」(ムーンネイバー)
月の隣で最も高い信用を誇る傭兵ギルド兼バー。
2階には月の隣人メンバーの居住スペースがある。
・マスター(ハーヴグーヴァ)
「月の隣人」のマスター。月にある海から来た怪物であり、ハーヴグーヴァという名があるものの非常に呼びにくいためマスターとかパパとか呼ばれている。ギルドの管理、バーの運営・治安維持、傭兵の世話・体調管理など様々なお仕事を一人で行いつつ足を組んで茶が飲める程度の処理能力を持つ。いちばんつよい。
・ナイフ
依頼人の生存帰還率の高さから「月の隣の案内人として最も優秀」とされる傭兵。種族としては狼男だが耳や尾、特有の戦闘能力などを表出させず、ナイフ一本を武器として扱っている。性格はやや犬っぽい。
・メテオ
ナイフの部屋の窓を突き破り飛来した隕石。言語や能力など未知の部分が多い謎の生命体。与えられた物の価値に応じて持ちうる能力で要望を解決しようとする等価交換の性質があるらしく、とりあえず月の隣人で居候をする対価に傭兵仕事その他雑務を手伝っている。
・ウルフ
ナイフの兄。狼男。ナイフとは違いわかりやすく狼男としての性質を表出させており、依頼された標的を追跡・始末する仕事を得意とする。始末した標的をそのまま食べちゃうこともある。生野菜が嫌い。
・ショット/バレット
魔術工学に造詣が深い学者。研究費を稼ぐために月の隣人で働いている。ショットは主人格のバレットが月の引力の影響を受けないために作られた副人格であり、人格としての成熟度がやや低い。
・ラオイン
鷹の鳥人。占星術師。生来の目の良さから星が読めすぎてしまうため、他所より月の光が強く星が読みにくい月の隣に住みついた。顔だけはまともそうだが悪戯好きのお茶目お兄さん。マゾ。
・鴉
月堕ち。月の隣を徘徊しては無差別に殺傷を行い、死体のそばに佇む黒衣の姿から「鴉」と呼ばれるようになった。彼の扱う変則的な剣術は驚異的な威力と速度を誇り、かつては名のある剣士だったと推測されるが、その正体を知る術はない。
とある温室
――陽光、木々に草花、一頭の竜
魔法使い(mage)
学校で魔法を習った現代魔法技術者。体内に存在する魔力を意志によって使役する。マジック。
魔女(witch)
古来からの伝承で魔法を習得した者。自然、霊的存在との感応によって超常的な力を使役する。ソーサリー、シャーマニズム。
・「ドラゴン」
「最も強く気高い魔法生物」。
ここでは現魔法研究局長に捕獲され、魔法研究局特別温室で飼育されている個体を指す。
ぽか(ぽかの温室で飼育されている謎の)ドラ(ゴンおにいさん)。
角度によって色を変える美しい角や鱗、長い尾を持ち、翼竜の一種に類似しているが翼はない。
人間の言葉を理解し指示にも従順だが、捕獲から現在に至るまで一言も発話しておらず、正確な名も種族も不明。
・ハル・ローエン
研究局所属・温室管理係の魔法使い。幼少期に温室に展示されているドラゴンを見て以来、かの気高い魔法生物を見世物のように展示する国家に失望を抱く。つよい隠匿の魔法で自分の本来の魔法技術や企てを隠して研究局内に入りこみ、ドラゴンに適切な環境を提供しながら解放を目論んでいる。
・クライ・オ・ページオン
現・魔法研究局局長。かつては防衛局に所属していたが、ドラゴンを捕獲したことにより研究局の局長に配属された。ハルが強力な隠匿魔法を使っていることには気付いているが強い魔法使いがだいすきなのですきだな~と思っている。真意不明のおちゃめおじさん。
・アレグロ・ベル
防衛局所属の魔女。局長の旧友。防衛局での仕事がだいすきだった局長が研究局に配属されてから心配で時々様子を見に来ている。最近はローエン君が入ったおかげで元気そうでうれしい。よかったね!魔女の魔法の性質上ハルには魔法の発動が読めないという理由で、ドラゴンにはおそらく存在自体を異常気象のように警戒されている。
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